老犬にとっては特に「単なる夏バテ」と思っていたら、あっという間に症状がひどくなって、取り返しがつかない事態にもなりかねません。
また若い犬でも、ダブルコートの子、寒い地方原産の子、鼻が短い犬種(短頭種)の子は暑さに弱いもの。
でも、こんな疑問もありますよね。
- 愛犬が夏バテになっているときの症状について知りたい
- 熱中症で危険な時はどんな症状が出るの?応急処置の方法は?
- 夏バテ予防のためには何に気をつけたらいいの?
- 動物病院に行くタイミングは?どんな時は急いで受診したほうがいい?
体力の落ちた老犬にとって、夏バテによる体調不良は飼い主が思う以上に深刻な問題になることも。
愛犬が夏バテや熱中症になった時の症状や対策を知っておけば、「あれ?」というときにすぐに対策を取ることができますよね。
- 普段より元気がなく、寝ている時間が長い
- 食欲が落ちる
- 散歩に行きたがらない、または足取りが重い
- 便の調子が悪い。下痢や便秘をする
- 呼吸が荒くなる、ハァハァとパンティングをする
- 嘔吐する
- 体が熱い
犬の熱中症は進行が早く、体の水分量の少ない老犬はすぐに危険な状態になることも!
この記事では、老犬の夏バテの症状から、食事、散歩、対策、そしていざという時の応急処置まで、飼い主さんが知っておくべき情報をまとめました。
猛暑の夏の乗り切り方を、次の項目から細かく解説していきます!
【見逃さないで!】老犬の夏バテの症状7つ
愛犬の小さな変化を見逃さないことが、夏バテの早期発見・早期回復に繋がります。
特に老犬は体温調節機能が衰え、若い頃よりもはるかに夏バテになりやすい状態。
単なる食欲不振やちょっと元気がないな、と軽く考えていると、取り返しのつかない事態になる可能性もあります。
ここではかかりつけだった獣医師や、ドッグトレーナーさんに伺った7つの代表的な夏バテの症状についてご紹介します!
特に、7つあげた症状のうち、症状4~症状7が見られたら、緊急度は高いと判断して、すぐに動物病院に行くようにしてください!

これを知っておけば安心かな!
症状1:普段より元気がなく、寝ている時間が長い
夏バテになると元気がなくなるのは、人間も愛犬も同じです。
何となくだるそう、いつもより寝ている時間が長い、という時は夏バテを疑ってみましょう。
ぐったりして動かず、愛犬を呼んでも反応が鈍い場合は、かなり愛犬の状態が悪いと判断できます。
すみやかに獣医師に相談するようにしましょう。
症状2:食欲が落ちる
夏バテすると犬も食欲が落ちます。

飼い主さんも、「そうめんでいいや」とか言ってるよね~
いつもガツガツ食べてくれていたフードを残すようなときは、夏バテで胃腸が弱っているのかもしれません。
ドッグフードは残すのに、オヤツや味がついたものは食べる、ということも起こります。
老犬は特に水分を取らないと、脱水症状になる可能性が大!水分の多い食事など、水を直接飲む以外の方法で水分を取る工夫が必要になります。

夏バテでも食べられそうな柔らかい無添加ごはんを特集したわ!
症状3:散歩に行きたがらない、または足取りが重い
散歩に行くのを渋ったり、すぐ帰ろうとしたり、立ち止まってしまったりするのは、夏バテで体力が低下している可能性があります。
老犬は体力が落ちてきますので、若い時よりも夏場の散歩の時間帯や歩く時間に気を使う必要があります。
症状4(熱中症を疑う症状):便の調子が悪い、下痢や便秘をする
夏バテをすると愛犬の腸内環境が悪くなり、下痢をしてしまうことがあります。
ひどくなると水のような下痢になり、体の水分がどんどん奪われてしまいます。
また、既に脱水に近い状態になっていると、便が固くなってしまい便秘になる子もいるんです。
普段より明らかに便の様子が悪い、という時は必ず獣医師に相談するようにしましょう。
症状5(熱中症を疑う症状):呼吸が荒くなる、ハァハァとパンティングする
犬が熱中症になると、異常な呼吸パターンになることがあります。
犬が暑いと感じたら、口を開けてハァハァと呼吸をするパンティングをするのは普通のことです。

ハァハァ…暑い~
普段見ているパンティングとはちょっと違う、という時は体調を崩している可能性があります。
- 涼しい部屋にいてもパンティングが収まらない
- 呼吸音に変な音が混ざっている
- ちょっと動くとすぐハァハァと呼吸が荒くなってつらそう
このような呼吸をする老犬はは熱中症にかかっている可能性がありますので、すぐに獣医師に診せるようにしましょう。
症状6(熱中症を疑う症状):嘔吐する
夏バテで体調が悪化すると、人間と同じように犬も嘔吐することがあります。
吐いたらスッキリした顔をしている、元気はある、という場合には、涼しい部屋で休ませ、少しずつ水を飲んで様子を見ても大丈夫です。

ケロッとしてれば大丈夫なこともあるわ
また、食事も消化の良いもの、柔らかいものなどを食べさせて老犬の胃腸をいたわってあげましょう。
何度も嘔吐を繰り返す、水も飲めない、ぐったりしている、という時は急いで受診しましょう。
症状7(熱中症を疑う症状):体が熱い
老犬も熱中症になると体温があがり、熱が出るようになります。
愛犬の体温を飼い主の手で測るのに最適な場所は、愛犬の耳の内側です。
被毛が薄く血管がたくさん走っている場所なので、犬の体温が高いかどうか判断するのにちょうどいいんです!
普段から愛犬の耳の内側を触ってみて、「いつもの温かさ」と知っておくことはとっても大事です!

普段から体中ナデナデしてね!
大きな症状はなくても気になる時は迷わず病院へ
ここまでご紹介した7つの症状は、夏バテだけでなく他の病気のサインである可能性もあります。
どんな些細なことでも「いつもと違う」と感じたら、愛犬の様子をよく観察し、必要であれば次の「応急処置」を試しながら、すぐに獣医さんに相談しましょう。
すぐに移動できないようなら電話でも構いません。適切な処置の方法を指示してくれて、大事に至らないで済む可能性があります。
また、症状1~3の状態に見えても、つらさを表に出さない子はすでに深刻な状態の一歩手前にいることもあります。
犬の熱中症はあっという間にひどくなっていくのが特徴ですので、「あれ?」と思ったら迷わず動物病院に行くのが正解です。
もしもの時のために!知っておきたい夏バテ・熱中症の応急処置3つ

愛犬の様子がおかしいと感じたら、慌てずに以下の応急処置を試しながら、同時に動物病院へ連絡してください。
- 涼しい場所へ移動させる
- 体を冷やす
- 水分補給を試みる
涼しい場所へ移動させる
エアコンの効いた部屋や、風通しの良い日陰など、できるだけ涼しい場所へ移動させましょう。
直射日光の当たる場所は避けてください。
体を冷やす
濡らしたタオルや保冷剤(直接肌に当てず、タオルで包む)を、首周り、脇の下、股の付け根といった太い血管が通っている場所に当てて集中的に冷やします。
体を濡らしたタオルで拭くのも効果的です。気化熱で老犬の体を冷やしてくれます。
水をかけたり濡れタオルで体を拭いてあげるときは、日が当たる場所を濡らすのはNGだそうです。
日光が当たると水分があっという間に高温になり、かえって危険なことも!
胸やお腹など、直接日が当たらない場所を選んで拭いてあげるようにすると良いそうです。
水分補給を試みる

飲めるようであれば、常温の水を少量ずつ与えてみましょう。
無理に飲ませようとすると誤嚥の危険があるので注意してください。嫌がる場合は無理強いは禁物です。
応急処置はあくまで病院へ行くまでの時間稼ぎです。 様子を見ている間にどんどん悪化することもあります。一刻も早く動物病院へ向かってください。
移動中もできるだけ涼しく保つ工夫をしましょう。
食事と水分補給:夏バテ予防と回復のための秘訣
老犬の夏バテを悪化させないためには、食事の工夫や水分補給がとっても大切です。
無理に食べさせたり飲ませたりするのは逆効果!
老犬が食べやすいもの、食べたいと思うものを食べさせてあげてOK!
水分はお水だけではなく、ヤギミルクやアルコールの入っていない甘酒などで、水分をとらせてあげてもいいと思います。

夏バテで食欲がない、食べない時の工夫

ドライフードにぬるま湯や鶏むね肉の茹で汁をかけて、香りを立たせると食欲を刺激することがあります。
ウェットフードや手作り食など、水分が多く嗜好性の高いものに一時的に切り替えるのも良いでしょう。
一度に食べきれない場合は、少量ずつ頻繁に与えることで、無理なく栄養を摂らせることができます。
フードの温度を少し下げる(冷ましすぎない程度に)のも効果的です。

老犬の食べさせ方はリンクで詳しく解説してるよ!
水分補給の重要性

水に犬用ミルクや氷を少量入れる、スープやウェットフードで水分を補給するなど、水分摂取を促す工夫をしてみましょう。
散歩中もこまめに水分補給を心がけ、携帯用の水飲みボウルを忘れずに持参しましょう。

老犬がお水を飲まないときの対策は下のリンクにあるわ!
散歩の注意点:老犬に合わせた夏の散歩ルール3つ
夏の散歩は、老犬にとって大きな負担になる場合があるんです。
- 時間帯:気温が低く地面が熱くない早朝や夜間がベスト
- 歩く時間:短時間・短距離でも気分転換になる
- こまめな水分補給を心がける
我が家では、愛犬が夏場散歩に行きたがらないときは、無理に行くことはありませんでした。
屋外で排泄する子だったので、トイレのために外に出て、用が済んだらすぐ帰る、ということもしょっちゅうでしたよ。
部屋の中でおもちゃで遊んだり、ノーズワークをしてみたり、なでたりスキンシップを取る時間をたっぷりとれるチャンスだ、と考えて過ごしました。
時間帯は早朝や夜間がベスト

最も涼しい早朝(日の出直後)や、地面の熱が冷めた夜間がベスト。
日中のアスファルトは50℃以上になることもあり、肉球の火傷や熱中症の危険があるため、絶対に避けてください。
飼い主さんが手のひらでアスファルトに5秒以上触れてみて、熱いと感じるようなら、愛犬を散歩させるのは危険です。
我が家では、夏場の散歩は早朝4時半、夜明けギリギリの時間に30分ほどで切り上げるようにしていました。
夜間に散歩に行くときは、安全のために反射板がついたリードを使ったり、懐中電灯を使ったりしてくださいね。

短時間・短距離でも気分転換になる
夏バテを避けるためにも、夏の散歩は短時間で済ませ、愛犬の様子を見ながら無理のない範囲で調整しましょう。
日陰の多いコースを選ぶ、公園の芝生の上を歩くなど、地面からの熱を避ける工夫も大切です。
老犬になると、夏は外を歩くだけでも体力を消耗します。
我が家も、愛犬の様子がちょっとしんどそうだなぁと思ったときは、散歩の途中で抱っこしたりすることもありました。

ちょっとお外に行くとスッキリするわ
晩年はカートに乗せて、早朝涼しい時間にゆっくり近所を一周するだけでも嬉しそうでしたよ。
こまめな水分補給を心がける

短距離のお散歩でも、水と水を飲ませるグッズは持ち歩くようにしましょう。
私も散歩のときに犬友さんに会っておしゃべりしている間、お互いの愛犬に水を飲ませたりしていましたよ。
飼い主さん自身も、こまめな水分補給を忘れずに!

徹底的な暑さ対策で夏バテ予防!家庭でできる対策3つ
老犬が夏バテすることなく夏を乗り切るためには、室内や外出時の車の車内環境などもとっても重要です。
- 暑さに慣れるトレーニングをする(暑熱順化)
- 室内環境:気温は25℃前後、湿度は50%程度が良い
- 外出時:直射日光やエアコンの効きすぎに注意!
本格的な夏の前の、暑さに慣れるトレーニングが夏バテ予防に効果あり!
本格的な夏の前に、「暑熱順化(しょねつじゅんか)」と言って暑さに慣れるトレーニングをすることが、夏バテ防止にとっても効果的なんです!
老犬は体温の調節が若い時ほどうまくいかないことが多いので、無理せず愛犬の体調を見ながら行うようにします。

慌てないでゆっくり慣れていこうね!
私がドッグトレーナーさんに教わった方法は次の通りです。
- 普段のお散歩の時間より、ちょっと暑いかな?程度の気温で短い散歩を行う
- 時間は5~10分程度の短時間でよい
- いつもより早足で歩くようにする
- 5~10分歩いて暑くなったら、木陰など涼しいところで充分休憩し、水分を取らせる
- 体温が高くなっていると感じたら、濡れタオルなどで愛犬の体を拭いて冷やす
- 休憩場所がない住宅地などでは、自宅でゆっくり休めるようにコースを考える
ゆっくり時間をかけて体を暑さに慣らしていくことで、愛犬の体を夏に順応させていきましょう。
老犬の体に負担が大きいようなら、無理に行わなくてもOKですよ。
室内環境:犬に最適な気温は25℃前後、湿度は50%程度

かかりつけだった獣医師さんによると、「犬に最適な気温は25℃前後、湿度は50%程度」だそうです。
- エアコンを適切に使用し、老犬の様子を見て室温を調整する。
- 震えているときは室温が低い可能性がある。ハァハァとパンティングをするときは室温が高い可能性がある
- 湿度が高いと犬は呼吸がしづらく感じることがある。60%を超えないようにするのが良い
- 室温が低くても、日が当たるところにいると熱中症になることもある。とくに老犬は注意したほうがいいよ
直射日光が当たる場所は避け、カーテンやブラインドで日差しをさえぎる必要があります。
老犬になると、暑いと感じる感覚が鈍くなるため、日当たりの良い場所に居続けて気が付いたら熱中症になっている、というケースがあるそうです。
ひんやりマットやクールベッドなど、体を冷やすグッズを置いてあげるのも効果的だそう。
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ただ、我が家の愛犬はひんやりマットがお気に召さず、全く使ってくれなかったんですよね…。
共働きで平日愛犬にはお留守番をお願いしていましたので、愛犬のベッドやケージを直射日光が当たらず、風通しの良い場所に移動して対応しました。
外出時:車の中で熱中症になりかけたときのこと

エアコンを使っていても、夏の車内は夏バテや熱中症の危険がいっぱい!
直射日光が当たると体力が落ちている老犬は熱中症になることがありますし、逆にエアコンで冷えすぎて体調を崩すこともあるそう。
エアコンで冷えた車内と、外の暑さの気温差で夏バテになってしまう老犬も多いんですよ!
とっても恥ずかしい話ですが、我が家の愛犬を一度車の移動で熱中症にさせかけたことがあります。
トリミングの帰り道、助手席に愛犬を乗せ、エアコンをかけて走っていたのですが、ちょうど日光が助手席に当たる向きになっていたんです。
ドライブボックスを使わず、犬用のシートベルトをつけて乗せていたので、日差しをさえぎるものが何もなくて。
なんとなく、いつもより元気がないな、とは感じていたところ、帰宅してすぐ愛犬が嘔吐してしまったんです。
幸い、軽症だったようでじきに回復したのですが、エアコンをかけていても車の中は危険だということを強く感じた出来事でした。

こんな時はすぐに病院へ!獣医への相談タイミング

「なんか変」「いつもと違う」と感じたら、迷わず獣医師へ相談に行くことが、老犬の命を守る最善策です。
何事もなければそれでいいわけですから、ためらわずにプロの指示を仰ぎましょう!
まとめ:愛犬の健康は飼い主の気づきから
老犬の夏バテを悪化させないためには、飼い主さんが愛犬の普段の様子をしっかり観察し、ちょっとした変化に気づくことが大切です。
夏バテをさせないためには、室内ではエアコンを使って気温や湿度を調節し、
「もし夏バテかな?」と不安に思ったり、「いつもと様子が違うな」と感じたら、決して慌てずに、迷わず動物病院へ連絡してください。
愛犬が安全で快適な夏を過ごせるよう、飼い主さんの愛情と注意深い観察で、しっかり守ってあげましょう。
この記事が、あなたと愛する老犬が、この夏の暑さを共に乗り越えるためのお役に立てたら幸いです。
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