愛犬が高齢になると、体調や食欲に変化が出てくるものです。
「水は飲むのに、ご飯だけ食べない…」そんな様子を見ると、病気ではないかと心配になりますよね。
調べてみると、ご飯を食べないのに水は飲む、ということの原因は、病気以外にもいくつか考えられるんです。
- お腹がすかないけれどのどは乾く:カロリー消費が少なくなり、お腹がすかなくなる。のどは乾くので水は飲む。
- 嗅覚や味覚が衰える:フードの美味しそうな香りを感じにくくなり、食欲が落ちることがある。
- ストレスによるもの:ストレスを強く感じると自律神経が乱れ、食欲がなくなる老犬もいる。
- 病気が原因となるもの:歯周病をはじめ、なんらかの病気が原因でごはんが食べられなくなる場合がある。
- フードの好みが変わる:固いドライフードが食べづらくなることがある。
この記事では、老犬が水は飲むのにご飯を食べないときに考えられる原因と、飼い主さんが今すぐできる対処法をわかりやすくご紹介します。
動物病院に連れて行く目安についてもお伝えしますので、参考にしてください。
老犬が水は飲むけどご飯を食べないのはなぜ?
水は飲めているということは、基本的な体力は保たれている可能性が高いです。
ごはんを食べない場合でも水は飲む、というのは、水分を取らないと命に関わることを、本能的に犬は知っているからだそうです。
しかし、ご飯だけを拒否するというのは、どこかに不快感や異常があるサインかもしれません。
「ただの気まぐれかな?」と軽く考える前に、老犬特有の変化に目を向けてあげましょう。
老犬がご飯を食べないのに水は飲むのはなぜ?5つの原因を解説
老犬が水は飲むけれどご飯を食べない主な理由をまとめると5つあります。
数時間〜半日ほどの食欲低下で、元気もあり、水も飲んでいれば一時的なものかもしれません。
しかし、丸一日以上食べない、元気がない、嘔吐や下痢があるといった場合は、病気が隠れている可能性も。
深刻な状態になる前に、早めに獣医さんに相談しましょう。
1.カロリー消費の低下と運動不足:お腹がすかないけれど喉は乾く
老犬になると筋肉量が減少し、若い頃と比べて運動量が大きく低下します。
これにより、体が必要とするカロリー消費量が減るため、お腹がすきにくくなります。
我が家の愛犬も、シニアになって散歩のペースがゆっくりになったり、家でまったり過ごす時間が増えたりしました。
基礎代謝も落ちるため、ますます必要なカロリーが減り、結果としてご飯は食べなくても喉は乾くため、水は飲む、という状況がよく起こります。
2.嗅覚や味覚の衰え:フードの魅力が感じにくい
犬の嗅覚は非常に優れており、最期まで残ると言われますが、それでも老化とともに感覚が鈍くなるのは避けられません。
フードの美味しそうな香りが感じにくくなると、食欲も自然と落ちてしまいます。
味覚についても同様で、今まで大好きだったフードでも、「あまり美味しくないな」と感じるようになり、食いつきが悪くなることがあります。
嗜好性の高いおやつや、少し味の濃いものを試すと食べてくれるのは、この嗅覚・味覚の衰えが一因かもしれません。
3.ストレスによるもの:食欲不振を招く心の状態
犬もストレスを感じると、自律神経が乱れて食欲不振になることがあります。
リラックスした状態でないと、なかなか食欲はわきません。
老犬になると、耳が遠くなったり、目が見えにくくなったりすることで、以前は平気だったことがストレスになる場合があります。
例えば、飼い主さんの接近に気づかず、急に触れられて驚いてしまうことがあります。
来客や気温の変化、長時間の留守番などが強いストレスとなり、食欲をなくすことも。
愛犬のペースを尊重し、安心できる環境を整えてあげることが重要です。
4.病気が原因となるもの:特に注意すべき症状
食欲不振は、時に病気のサインである可能性も高く、注意が必要です。
- 歯周病など口腔内のトラブル: 歯や歯茎が痛むと、硬いフードだけでなく、やわらかいフードでさえ食べるのが辛くなります。我が家の愛犬も重度の歯周病で食欲が落ちましたが、抜歯手術後は痛みがなくなり、驚くほど食欲が戻りました。
- 内臓疾患: 腎臓病、肝臓病、糖尿病、胃腸炎など、様々な内臓の病気が食欲不振を引き起こすことがあります。
- 多飲多尿: 特に注意が必要なのが、異常に水をたくさん飲む「多飲」と、それに伴って尿量が増える「多尿」です。犬が1日に飲む水の目安は「体重1kgあたり100ml」とされています。例えば、体重5kgの犬なら1日500ml以上飲む場合は注意が必要です。多飲多尿は、糖尿病の初期症状や腎臓疾患、**副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)**など、重篤な病気のサインであることがあります。普段よりも明らかに水の量が多いと感じたら、すぐに獣医師に相談しましょう。
数時間〜半日ほどの食欲低下で、元気もあり、水も飲んでいれば一時的なものかもしれません.
しかし、丸一日以上食べない、元気がなくぐったりしている、嘔吐や下痢がある、水を大量に飲む、あるいは著しく飲む量が減ったといった場合は、病気が隠れている可能性が高いです。
深刻な状態になる前に、早急に動物病院を受診してください。
5.フードの好みが変わる:半生フードやウエットフードで解決することも
長年同じフードを食べていると飽きてしまうこともあります。
また、加齢によって硬いものを噛みにくくなり、以前と同じフードでも食べづらいと感じる場合もあります。
2番めに書いた、嗅覚や味覚の衰えによって、今までのフードに魅力を感じなくなって「食べたくないなぁ」と老犬が感じているかもしれません。
フードにトッピングをしたり、半生やウエットフードを試してみることで、解決することもよくあります。

無添加の柔らかいフードを特集した記事のリンクだよ!
老犬がご飯を食べない!今すぐできる対処法
老犬がご飯を食べなくなった時に、すぐに試せる対処法をご紹介します。
より詳しいご飯の食べさせ方の工夫については、こちらの記事も参考にしてください。
ここでは、食事の与え方以外でご家庭でできる対処法についてご紹介します。
運動量を増やして「お腹がすいた」を引き出す
消費カロリーを増やし、愛犬に自然な空腹感を感じてもらうことは、食欲を刺激するのに効果的です。
- 散歩の工夫: 長時間歩けなくても、抱っこやカートで近所の公園まで連れて行き、**「クン活」(匂い嗅ぎ活動)**をさせてあげましょう。脳への良い刺激になり、気分転換にもなります(拾い食いにはくれぐれも注意してください)。一度に長時間歩くのではなく、飼い主さんの生活サイクルに合わせて、短時間で複数回外に出るのも良い方法です。
- 室内遊び: 若い頃のような激しい遊びではなく、ノーズワークなど、頭を使う遊びを取り入れてみてください。隠したおやつを探させることで、達成感とともに食欲を刺激できます。
- 水泳: 可能であれば、水泳は関節への負担が少なく、全身運動になるため特におすすめです。
- マッサージ: 愛犬とのスキンシップにもなり、血行促進や代謝アップ効果も期待できます。愛犬が好きなオヤツを使い、五感をフル活用させる遊びは、認知症対策にもつながります。

老犬のストレスを緩和する生活環境の整備
ストレスは食欲不振の大きな要因です。愛犬の目線に立って、安心できる生活環境を整えてあげましょう。
- 段差の解消: ソファに自分で登れなくなったり、目が悪くなって家具にぶつかったりすることは、愛犬にとって大きなストレスであり、怪我の原因にもなります。お気に入りの場所に上がれるよう踏み台やスロープを設置したり、ぶつかりそうな場所にはクッション材でカバーしたりするなど、安全対策を徹底しましょう。
- 優しいコミュニケーション: 飼い主さんが触れる際も、ゆっくり近づき、声をかけながら撫でることで、愛犬は安心してくれます。急な接触は、老犬にとって大きな驚きとなることがあります。
- 静かで落ち着ける場所: 来客時や大きな物音の際は、静かで落ち着ける場所へ移動させてあげるなど、ストレス要因を極力減らす工夫も必要です。

病院に連れて行くべきタイミングとは?
老犬がご飯を食べないけれど、水を飲むときも、元気があって排せつも正常であれば、しばらく様子を見ても大丈夫な時もよくあります。
しかし、次のような状態の時は、迷わずすぐに動物病院を受診するサインです。
かかりつけの獣医師をもつことはもちろんですが、夜間や休日に緊急で診察してもらえる動物病院がないか、近隣で確認しておくのも大切です。
よくある質問(FAQ)
Q: 何日まで食べなくても大丈夫ですか?
A: 水を飲んでいて元気があれば1日程度は様子を見ても大丈夫ですが、2日以上続く場合は受診を検討してください。
Q: 人間の食べ物を与えても良いですか?
A: 基本的には犬専用のフードが推奨されますが、茹でた鶏肉や白米などは少量であれば問題ありません。
Q: サプリメントは効果的ですか?
A: 食欲増進や消化をサポートするサプリメントもありますが、まずは基本的な対処法を試してから検討しましょう。
まとめ:早めの対処で愛犬の健康を守ろう
老犬がご飯を食べずに水だけ飲む行動には、様々な原因が考えられます。重要なのは、「そのうち食べるだろう」と楽観視せず、愛犬の状態をしっかりと観察することです。
今日からできる対処法
- 運動量の見直しと質の向上
- ストレスの少ない環境づくり
- 食事の工夫(温度、形状、トッピング)
- 症状の記録と変化の観察
多くの場合、適切な対処により食欲は回復します。しかし、症状が続く場合や心配な変化があれば、遠慮なく動物病院に相談することが大切です。
愛犬の健康は日々の観察と早めの対応で守ることができます。この記事の情報を参考に、愛犬との時間をより良いものにしていきましょう。
コメント