この記事では、愛犬の介護食の食べさせ方について4ステップの段階に分けて解説しています。また私の経験から、介護食の食べさせ方で困ったことと、対処法のご紹介もしています。
老犬になったり、病気になって愛犬が今までのように食事がとれなくなると、飼い主が食べさせてあげる必要が出てきます。
愛犬に食事の介助が必要になった時、介護食の食べさせ方で、次のような点に困ったり悩むことがありますよね。
- 愛犬に介護食を食べさせるやり方がわからない
- 寝たきりになった愛犬に食事をさせるときの姿勢はどうしたらいい?
- 愛犬に流動食を食べさせる時のシリンジの入れ方はどうしたら?
- 老犬の食事の介助に便利なグッズはないだろうか
高齢犬がごはんを食べてくれないと、体力が落ちてしまうことや、病気の治りが悪くなるのでは?と本当に心配になります。
この記事では、私が愛犬を介護した経験を含めて、介護食の食べさせ方を4つのステップにして説明していきます。
<犬への介護食の食べさせ方4ステップ>
- 食事の事前準備:食事の介助に必要なものはひとまとめにしておく
- 寝たきりの愛犬の姿勢を整える:愛犬の頭から背中までがまっすぐになるように上体を起こす
- 流動食のシリンジは口の横から入れる:老犬でシリンジを嫌がる場合も、シリンジを愛犬の口の横から入れるようにするとスムーズ
- 食後の愛犬の状態を見守る:誤嚥や吐き戻しがないか見守り、スキンシップを取る
それぞれのステップについて、詳しくご説明していきますね。
また、介護食の食べさせ方で困ったことや、我が家で取った対応方法についてもご紹介していきます。
犬への介護食の食べさせ方:4ステップ
愛犬に介護食を食べさせるためには、次の4つのステップを、愛犬の状態に合わせて考える必要があります。
- 食事の事前準備
- 寝たきりの愛犬の姿勢を整える
- 流動食のシリンジは口の横から入れる
- 食後の愛犬の状態を見守る
それではひとつずつご説明していきますね。
1.食事の事前準備
食事の前に愛犬の食事に使う道具や介護食、掃除道具などをあらかじめ準備しておくと、食事の時間がとてもスムーズになりました。

ワンコさん専用ごはんグッズのカゴを作ろう。

カゴが出てくると、ごはんタイムだって嬉しくなっちゃう♪
キッチンに愛犬の食器や市販の流動食、食べさせるためのスプーンなどをお盆やかごにまとめておくようにします。
- 介護食を入れるお皿やボウル、愛犬用食器
- 愛犬に食べさせるためのスプーンやさじ、シリンジなど
- 市販の介護食や流動食:ストックも一か所にまとめておくとラク
タオルや掃除道具などは、愛犬が普段過ごす部屋にまとめておきました。
- 愛犬の食べる姿勢を整えるためのクッション
- バスタオル:体を支えたり汚れ防止のために何枚か用意する。古タオルで良い。
- ペットシーツ:流動食がこぼれたり、ブルブルっとされて飛び散る時の対処
- 愛犬の口の周りを拭くタオル:ハンドタオルを何枚か用意しておく
- 部屋に介護食が飛び散った時の掃除用雑巾、ウエットティッシュ
- ゴミ袋、ビニール袋
2.寝たきりの愛犬の姿勢を整える
寝たきりになってしまった子は無理なく食事がとれるような姿勢を取れるように、補助してあげる必要があります。

上半身を起こしてもらうとラクなんだ!

飼い主さんの膝やクッションを使うといいみたい。
立った姿勢を取れるようなクッションや車いすを使う

立った姿勢になるようにサポートしてくれるクッションや、車いすを使うと介護食を食べさせやすくなります。
食器を飼い主さんが手に持って、スプーンで食べられるようならスプーンで食べさせ、シリンジを使うなら口の横から優しく入れてあげるとうまくいきます。
- 姿勢を補助してくれるクッションを使う
- 車いすを使う
車いすは1ヵ月単位でレンタルできるものもあります。かなり高価な物なので、賢くレンタルを利用するのも良いでしょう。
フセの姿勢が取れると介護食が食べさせやすく愛犬もラク

少し角度があるクッションを使ったり、クッションとタオルを重ねて高さをつけ、愛犬にフセの姿勢を取らせてあげると、愛犬がラクに食事ができます。
上体を起こし、高くしてあげると口に入ったごはんや流動食が自然に胃に運ばれ、誤嚥の危険が少なくなります。
横になったままの姿勢でごはんをあげたり、あごを持ち上げて顔だけ上向きにするのは、誤嚥の危険が高く、大変危険です。

抱っこやひざの上に愛犬の上体を乗せて上体を起こしてあげる
我が家の場合、私が座った足の上にクッションを置いてタオルを上からかぶせ、そこに愛犬をもたれかからせるようにしました。
それから、頭を支えるために小型のクッションにバスタオルを巻き、愛犬の肩からあごの下に置いて、頭から首、背中までが一直線になるようにしました。

ごはんタイムは抱っこタイム♪
3.流動食のシリンジは口の横から入れる
愛犬の姿勢が整ったら、楽しいごはんの時間です。
流動食でシリンジを使うときは、愛犬の前から口に入れると嫌がられることがほとんど。
口の横、犬歯の奥にある隙間からシリンジを入れてあげるとうまくいくことが多いです。
私が愛犬を介護しているときは、シリンジを見ると嫌がることがありましたので、愛犬の首の後ろから腕を回して、シリンジを横から入れたりもしました。
- ごはんを口元にまず持って行き、ごはんの匂いを嗅いでもらう
- 流動食のシリンジは愛犬の口の横から入れる
- 一度に大量ではなく、少量ずつ何回かに分けて。
- 飲み込む時間をきちんと確保し、無理に続けない。

つぶして流動食にもできる、無添加フードを4つ紹介してるよ!
ごはんを口元にまず持って行き、ごはんの匂いを嗅いでもらう
まず鼻先や口もとに流動食が入った容器を持って行き、匂いをかがせて「ごはんの時間だよ」と教えてあげるようにしました。
いきなり口の中に食事が入って来ると、驚いてしまう子もいます。
シリンジから少しだけ流動食を飼い主さんの指に出して、それを愛犬の鼻さきに近づけても良いでしょう。

嗅覚は高齢犬になってもまだまだ現役バリバリよ!
流動食のシリンジは口の横、犬歯の奥から入れるとうまくいく
流動食のシリンジは口の横から入れると、うまくいくことが多いようです。
我が家の愛犬は口の中に大きな腫瘍があり、スプーンで介護食を食べることができなかったので、シリンジで流動食を食べさせていました。
正面からシリンジを口の中に入れようとすると、とっても嫌がりましたが、横からならそれほど嫌がることなく介護食を食べさせることができましたよ。

柔らかいフードを食べられるなら、小さく丸めてお口に入れてあげてね
大型犬や、食欲がまだまだ旺盛な子で、流動食をたくさん食べる子に対してスプーンやシリンジでごはんをあげるのが大変なこともあります。
裏ワザとして、口金をつけていないケーキの絞り袋に流動食を入れ、絞り袋の先から食事が出てくるようにする、というやり方をSNSで見たことがあります。
老犬であごの力が弱くなっていても、袋をモグモグすると介護食が出てくるので、ワンコさんのペースで食事をとることができるようです。
この時使う絞り袋は、あまり薄いものだとすぐに破れてしまうので、下の画像のような厚手のものを使うことをおすすめします。

一度に大量ではなく、少量ずつ何回かに分けて
介護食を食べさせる時は、少しずつ、何回かに分けて食べさせてあげましょう。小型犬なら、下の画像のスプーンが目安になります。
少しずつ口に介護食を入れてあげて、ごっくんと飲み込んだのを確認してから、次の一口をあげるようにします。
でも、食事を一口にたくさん上げるのはNG!愛犬が飲み込めず、誤嚥の元にもなりますし、せっかくのごはんの時間が嫌いになってしまうかもしれません。
シリコン製のスプーンだと、口に当たった時にケガの心配がなく、噛まれても簡単にちぎれたりしないので安心です。

飲み込む時間をきちんと確保し、無理に続けない。
ごはんを愛犬の口にいれたら、ごくん、と飲み込むのを確認して次の一口をあげるようにします。
目で見て喉が動くのがわかればそれでOK。わかりにくい場合は、やさしく喉元に手を添えてあげると、飲み込むのがわかります。
「もっとちょうだい」と口を開けてくれたら、それも次の一口をあげるタイミングだと判断できますね。
老犬は飲み込む力が弱くなっています。一口ごとに飲めているかな?と確認してあげるようにしましょう。
4.食後の愛犬の様子を見守る
食事が終わってもすぐに寝かせず、しばらく体を起こした体勢をキープしていてもらいます。
なでてあげたり、愛犬とのスキンシップを取りながら、吐き戻しがないか注意します。口の周りが汚れたら、この時キレイに拭いてあげるようにします。
お水を少しシリンジで飲ませてあげると、お口の中がスッキリして、水分補給にもなりますね。

この時間がめっちゃ幸せ!飼い主さん大好きビームよ!
こんなときどうする?我が家で取った対応策
愛犬の介護食の食べさせ方で、困ることが我が家でも何度もありました。
その中のいくつかについて、我が家で取った対応策をご紹介します。
食事を食べない、口を開けてくれない
口を開けてくれず、食べたくない!とそっぽを向かれると本当に困りました。
この時取った対応策は次の通りです。
飼い主が目の前で実際に食べる、食べる真似をする
愛犬の介護食を食べさせたのは主に私だったので、私のカップに甘酒や果汁、野菜スープなどを入れて、愛犬の目の前で美味しそうに飲んで見せました。
それから、カップから愛犬の食器に中身を移し、少しだけ口の中に入れる、ということをするとうまく飲んでくれることがありました。

ママさんが食べてる美味しそうなの、分けてもらうと嬉しいの!
愛犬の流動食は実際に食べることはしませんでしたが、愛犬の食器の中のものを食べる真似をして見せ、こちらをじっと見ているようなら少しあげてみる、ということもしました。
時間を変える
お腹があまり空いていないとか、今は眠いとか、気分じゃないとか、そういう理由で食べたくないのかな?と思う時もありました。
そんな時は、少し時間をおいてみたり、普段の時間からずらしてみたりもしました。
うまくタイミングがあうと「さっきは嫌がったけれど食べてくれた」ということもありました。
気分転換をする
私に余裕がある時は、抱っこで外に出てみたり、カートで近所を散歩してみたり、と気分転換をさせてみました。
夜になって出かけられないときは、見よう見まねでマッサージをしてあげたりもしました。

少し刺激があると気持ちがよくなるよ。
少し気分転換になって、食べてくれるきっかけになることもありましたよ。
ご飯は食べないけれどおやつは食べる
高齢犬になって、ご飯は食べないけれどオヤツは食べる、ということもよくあります。
もちろん、栄養面でどうなんだろう?と心配になりますよね。おやつだけ与えていればいいのか?については、必ず獣医師と相談が必要だと思います。
我が家の場合ですが、「好きなものを食べさせていいよ」と獣医に言われたころから、オヤツだけでも食べてくれればありがたい、と考えるようになりました。
高齢犬で介護が必要になったら、一番大切なのは「食べたいな」という意欲を持っていてもらうことだと思っています。

ワガママだねぇ、って言われちゃったの?

え、別に良くない?ワガママで。
いいじゃないですか、老犬なんですからワガママだって!(笑)
ただ、腎臓の病気などで食事制限がある場合は、獣医師と相談して食べさせるオヤツを決めてくださいね。
シリンジが詰まる
特に流動食を手作りした時など、少し大きめの粒が混ざっていると、すぐにシリンジが詰まってしまうのにとても困りました。
裏ごしする場合は、手間はかかりますが目の細かい裏ごし器を使った方が、結果的にはスムーズに食事の介護ができます。
赤ちゃんの離乳食用の小さい裏ごし器や、たくさん作って冷凍するときはブレンダーが大活躍しました。
また、購入したシリンジは安価な使い捨てタイプだったので、洗って使うのは食事2回分が限度でした。
シリンジ内部のゴムの部分の滑りが悪くなり、流動食を器から吸い上げることも、愛犬の口の中にスムーズにいれることも、すぐにできなくなってしまったんです。
シリンジは安いものを使う場合は、「1回の食事の使い捨て」と割り切った方がよさそうです。
また、食事の時は予備に1本手の届くところに置いておくことをおすすめします。

必要に応じて獣医師に相談を
愛犬の介護食の食べさせ方は、介護の段階によって変化していくもの。
獣医師と相談しながら、今の愛犬に一番いい方法を考えていけるといいですよね。
こんな時は、すぐに獣医師に相談してくださいね。
- 数日以上食べない、極端に体重が落ちるなどの症状がある場合
- 栄養補助食品やサプリメントの使用を検討する際
- 点滴や経管栄養が必要になる場合もある
まとめ:愛犬の「食べたい気持ち」を支え続けるために
私が愛犬に介護食を食べさせたときは、次の4つのステップを意識していました。
<犬への介護食の食べさせ方4ステップ>
- 食事の事前準備:食事の介助に必要なものはひとまとめにしておく
- 寝たきりの愛犬の姿勢を整える:愛犬の頭から背中までがまっすぐになるように上体を起こす
- 流動食のシリンジは口の横から入れる:老犬でシリンジを嫌がる場合も、シリンジを愛犬の口の横から入れるようにするとスムーズ
- 食後の愛犬の状態を見守る:誤嚥や吐き戻しがないか見守り、スキンシップを取る
介護中の愛犬との毎日は、飼い主さんにとっても大きな挑戦です。
しかし、正しい食事介助の方法を知ることで、愛犬の生活の質は確実に向上します。
愛情と工夫で、少しでも食事の時間が快適なものになるよう支えていきましょう。
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